QUIDにおける自治体アンケートデータ(品川区)分析活用例

QUID Monitorを活用し、自治体のオープンデータを基にアンケートデータ分析を行った結果をご紹介いたします。
今回使用したデータは、品川区民を対象に実施された、「誰もが生きがいを感じ、自分らしく暮らしていける品川」を目指すことを目的としたアンケートの回答データです。
全データのうち、中学生を除く15歳以上の全区民向けの回答データを基に、22項目における満足度や要望を分析しました
参照サイト:https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/PC/kuseizyoho/kuseizyoho-zyouhoukoukai/20230920092741.html
※このページの分析は、品川区が公開している「品川区民アンケート結果(2024年4月公開)」を基に作成しています。データのライセンスはCC BY 4.0に基づき使用しています。

目次

  1. 分析結果
  2. 区民が重視する生活項目ランキング
  3. 回答者属性分析
  4. 満足度分布
  5. 自由記述回答から区民のニーズを分析

【分析目的】:地域に暮らす住民の満足度や、暮らす上で重視している点・要望を把握し、より効果的な施策の検討・実施につなげる。
【使用ツール】:QUID Monitor
【使用データ】:2024年4月公開の品川区民アンケート結果(中学生を除く15歳以上の全区民を対象としたアンケートデータ)
【分析内容】:アンケートデータを基に回答者属性分析、頻出キーワードや分析、センチメント分析を行いました。


1.分析結果

  • 品川区民(15歳以上・中学生除く)を対象とした調査では、「健康」や「経済の安定」、「治安」、「子育て」、「住環境」といった、日常生活の安心と安定に直結する項目への関心が高いことがわかった。
    2.区民が重視する生活項目ランキング
  • 「経済の安定」については、30代〜50代の働き盛り世代を中心に、会社員・団体職員などの安定雇用層に限らず、アルバイトや自営業からも関心が寄せられている。
    3.回答者属性分析
  • 「子育て」については、30代と会社員・団体職員の割合が高く、子育て世代による、仕事と家庭の両立や子育て支援の充実を強く求めていることがうかがえる。
    3.回答者属性分析
  • 満足度の結果においても、「子育て」に関する項目で満足と回答した割合が他の項目に比べて低く、子育て環境の支援や制度面での不十分さを感じている人が多いと考えられる。
    4.満足度分布
  • 区民からは、子ども手当といった経済面と、施設や保育園の整備といった生活環境の面から子育てを支える街づくりを求める声が寄せられた。
    5.自由記述回答から区民のニーズを分析

2.区民が重視する生活項目ランキング

あなたが自分らしく幸せに暮らしていくために重要だと考えることについて、以下の1~22の項目の中で特に重要だと考える項目に〇を3つまでつけてください。」という質問に対する回答数を基に、暮らす上で重視している項目をランキング化しました。これにより、中学生を除く15歳以上の品川区民にとっての、生活の中で重視される価値観や関心事の傾向を把握できます。下記のグラフは、回答数が多い順に棒グラフ化したものです。

  • 回答者の関心が最も高かったのは「③身体と心の健康」で、次いで「⑦仕事や経済状態の安定」が多い。
  • 上位5項目を見ると、「健康」や「経済の安定」、「治安」、「子育て」、「住環境」といった、自身の日常生活の安定と安心に直結する項目がランクイン。
  • 「DX推進」や「LGBT理解」、「人権尊重」、「伝統の継承」などは回答数が少なく、日常生活の実感からやや距離のあるテーマは優先度が下がる傾向にある。

今回は上位5項目をピックアップし、回答者属性分析や満足度調査を行いました。

▼グラフ:自分らしく幸せに暮らすために重視すること(回答数順)

アンケートデータ(自分らしく幸せに暮らすために重視すること)


3.回答者属性分析

自分らしく幸せに暮らしていくために重要だと考える項目について、回答数が多かった5項目(「③身体と心の健康」、「⑦仕事や経済状態の安定」、「⑥犯罪がない地域での安心した生活」、「⑨子どもを安心して産み、育てられる環境」、「⑤安全・快適に住む場所の確保」)をピックアップし、年代・職業の観点から傾向を分析しました。

①年代別の傾向

【全体(全22項目)の年代別分布】

  • 全22項目における、全ての回答者の年代別分布を確認すると、40代・50代・70代が多く、10代・20代の若年層が少ない。

▼グラフ:全体(全22項目)の年代別分布

アンケートデータ(全22項目の年代別分布)

 

【暮らしの重視項目 上位5項目の年代別分布】

  • 上位5項目の年代別の分布は、いずれも40代・50代の割合が高く、中心層となっている。
  • 「③身体と心の健康」は、40代・50代で最も高く、健康意識の高まりが見られる。
  • 「⑦仕事や経済状態の安定」は、30代~50代が多く、就労世代の経済安定ニーズがみられる。
  • 「⑨子どもを安心して産み、育てられる環境」は、30代(33%)が突出して高く、次いで40代(22%)となっており、子育て中または子育て直前の世代の関心が集中している。
  • 「⑥犯罪がない地域での安心した生活」・「⑤安全・快適に住む場所の確保」に関しては、比較的バランス良く分布しており、幅広い世代の共通関心と考えられる。

▼グラフ:暮らしの重視項目 上位5項目の年代別分布

アンケートデータ(上位5項目の年代分布)

 

②職業別の傾向

【全体(全22項目)の職業別分布】

  • 「会社員・団体職員」(42%)が最も多く、他の職種では「主婦・主夫」(12%)や「パート・アルバイト」(9%)が多い。

▼グラフ:全体(全22項目)の職業別分布

アンケートデータ(全22項目の職業別分布)

 

暮らしの重視項目 上位5項目の年代別分布

  • ③身体と心の健康は、会社員・団体職員が多いが、無職(13%)や主婦・主夫(11%)も割合が高い在宅・非就労層にも共通して強い関心があるといえる。

  • ⑦は、会社員・団体職員の割合が高く、安定雇用層が強い関心を示す一方、パート・アルバイト(10%)、自営業(8%)など経済的不安を感じやすい層の関心も高い。

  • 「⑥犯罪がない地域での安心した生活」は、無職(13%)や主婦・主夫(11%)の関心が高く在宅時間が長い層が地域の治安を重視している傾向がある。

  • 「⑨子どもを安心して産み、育てられる環境」は、会社員・団体職員が約6割を占めており、他の項目と比べ一番割合が高い仕事と家庭の両立や子育て支援の充実を強く求めていることがうかがえる

▼グラフ:暮らしの重視項目 上位5項目の職業別分布

アンケートデータ(上位5項目の職業分布)


4.区民が重視する生活項目TOP5の満足度分布

自分らしく幸せに暮らしていくために重要だと考える項目について、全22項目に対して、現在の満足度1(大変満足)~5(大変不満)を回答したデータを分析しました。

  • 「⑥犯罪がない地域での安心した生活」・「⑤安全・快適に住む場所の確保」については、「大変満足」・「やや満足」の割合が高く、「大変不満」・「やや不満」の割合が低い。
  • 「⑨子どもを安心して産み、育てられる環境」については、「大変満足」・「やや満足」の割合が低く、「大変不満」・「やや不満」の割合が高い。
  • 生活基盤(治安・住環境)には一定の安心感がある一方、子育て環境に関する支援や制度、地域の受け入れ体制などに対しては、課題感を抱いている人が比較的多いと考えられる

▼グラフ:上位5項目における満足度の分布

アンケートデータ(上位5項目の満足度分布)


5.自由記述回答から区民のニーズを分析

「品川区がもっと素敵なまちになり、誰もが生きがいを感じ、自分らしく暮らしていくために必要だと考える取り組みがありましたら、お聞かせください。」という質問に対する、自由記述形式の回答を基に区民のニーズを分析。これにより、中学生を除く15歳以上の品川区民が抱く区に対する課題や要望を把握することができます。

①頻出キーワード

  • 「ほしい」/「欲しい」:公園の整備や新設を望む声が多く、特に広々とした空間や自然の多い環境が求められている。そのほか子どものいない世帯への支援など、多様な生活支援を望む意見が見られた。
  • 「子供」:子ども手当といった経済面と、施設や保育園の整備といった生活環境の面から子育てを支える街づくりを求める声が寄せられた。
  • 「地域」:地域内の施設の充実や、住民同士のつながりを深めるコミュニティの場づくりを望む意見が目立った。

  • 「高齢者」:高齢者向けの施設整備や、就労・活動の機会を増やしてほしいという声が多く、高齢者の活躍や安心できる生活環境の整備が求められていた。

  • 子育て世帯や高齢者世帯に限らず、単身世帯や働き盛り世代からの支援を求める声も寄せられており、幅広い世帯層から支援を求める声があった。また、子育て・高齢者支援、地域の居場所づくりに関する意見が多いことから、多世代が社会に参加することのできる街づくりが必要だと考えられる

▼頻出キーワード

アンケートデータ(自由記述回答の頻出キーワード)

 

②センチメント分析(ネガティブ頻出キーワード)

  • 「難しい」:アンケートの設問内容が分かりにくいという声や、地域の人との交流の機会が少なく、関わりが難しいという意見が見られた。
  • 「悪い」:自転車マナーの悪さ繁華街の治安への不安区役所や公共施設へのアクセスの悪さなど、生活環境の利便性や安全面に関する不満が挙がった。
  • 「うるさい」:飛行機の騒音問題に対する苦情が目立ち、日常生活の中での環境音へのストレスが指摘されていた。

▼ネガティブな頻出キーワード

アンケートデータ(自由記述回答のネガティブな頻出キーワード)

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